【MHP 3rd】『MH』シリーズが目指してきたものと『3rd』が目指しているもの(その12)(野村) #MHP3

(その11からの続き)

渓流を作っていく際の発想と
人工的な建物を入れ込む理由

PH13.JPG――『3rd』で初登場となるフィールド、渓流のコンセプトをお聞かせください。

一瀬:渓流は『3rd』におけるファーストステージのイメージを持たせたい側面があるので、生物が生息している環境というところを前面に押し出したいと考えました。だから、野山や森、草木といったところは外せない。ただ、それだけを考えると、今までのシリーズ作品にも登場した森丘や密林、樹海、孤島などにも木々がたくさんあるわけで、それらを踏まえつつ渓流をどう変えていくか考える必要がある。そうすると、今回の渓流のテーマにも和風テイストにも合いそうな川をメインにしてみようとか、赤のイメージカラーを織り交ぜる意味で、紅葉を描く場所があってもよいといった発想が出てきます。これらを加味して、今までとは異なるテイストを実現させていきました。紅葉の赤に関しては、入れすぎると雅な感じになってしまうので難しいところですが、いつモンスターが出てきてもおかしくないような緊張感、ドキドキ感、ワクワク感は、絶妙なバランスで実現できたのではないかと思っています。

――渓流を作るうえで、実際の場所を取材されたり参考にされたりしましたか? 以前『3(トライ)』のインタビューで、水没林を作るうえでブラジルの湿地帯を取材されたというお話をお聞きし、『3rd』ではどうなのかなと思いまして。

辻本:背景を担当する開発スタッフが、いくつかの場所に取材に行きました。どこも渓流の雰囲気に合っているところです。

――渓流を作るうえで、前述のもの以外にコンセプトはありましたか?

一瀬:新しい試みとして、人工物を描いてみようというのがあって、実際に渓流の画面写真を見ていただければわかりますが、荒廃した村の建物など、そういった過去に人が住んでいたであろう人工物をミックスさせてみました。建物には人がもう住んでいないので、モンスター達が山から下りてきて生息圏を広げているというようなテイストも、今回の渓流には混ぜ込んでいます。

――そういえば、人工物は『MH』シリーズのフィールドにあまりないですよね。

辻本:塔とか遺跡的なものはありますけど、身近に感じられて人が住んでたような雰囲気のある建物はなかったので、渓流はそういう意味でも新鮮だと思います。吊り橋があったりとか。

――PVには吊り橋で木の枝を渡るような場面がありましたが、あれも渓流内の場所ですか?

一瀬:ええ。

――そもそもなぜ今回、人工的な建物を入れ込もうと考えたのですか?

一瀬:今までのシリーズでもそうですが、クエストの依頼書を見ると「ドスランポスが畑を荒らしてるんだ、助けてくれ」的な内容がありますよね。そういうことを実際に描いてみたらどうなるんだろうと。初期段階の渓流には、田園があったり段々畑があったりして、そこにモンスターが出没……みたいな設定もありました。

――ポッケ農場にモンスターがいるとか。

一瀬:はい、そういうニュアンスですね。

――いわゆる、ハンターとモンスターが対峙する、直接的なかかわり合いのドラマだけではなくて、世界として見たときのモンスターと人のかかわり合いのようななものも……という表現であると。

一瀬:そんな感じです。元々は村があった場所にモンスター達がいるというのは、自然なことかと。

(その13に続く)