【TGS2010】iPhoneに関する3つのトピックス(2/2) #iPhonejp #TGS2010

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【3】i Love iPhone × Game/バンダイナムコゲームス

最後は、やはりステージイベント「i Love iPhone × Game」を挙げておきたいと思います(レポートのまとめはこちら)。中でも、特筆すべきはバンダイナムコゲームスのプレゼンテーションです。他社がアプリそのものの話を中心に据えている中、ガンダムアプリを発表し、会場で展示までしていたにもかかわらず、バンダイナムコゲームス/山田さんのお話はiPhoneゲームの状況論に終始しました。そして、その内容は非常に適確と言いますか、今、まさに現場で戦っている方だからこその貴重なお話だったとも思います。

[TGS0917iPhone]

特に印象に残っているのは、iPhoneに代表されるようなスマートフォンのゲームは、決してコンシューマゲームにとって脅威なのではなく、逆にコンシューマゲームになにがしかのメリットをもたらすものだと考えているというお話でした。

コンシューマゲーム業界の中にいると、とても奇異に聞こえることがあります。「iPhoneゲームは安価だったり、あからさまに無料だったりするから、ゲームソフトメーカーでは取り組むことができない」という議論です。物理的にディスク等を売るビジネスであるとすれば、(原価がかかるという意味で)採算性に疑問があるというのはわからない話ではまったくないのですが、そこに生まれている、さらに、まだまだ成長の余地のある新しい市場を無視していいのかという議論は、あまりありません。僕には、コンシューマゲーム業界はいつかまた神風が吹いて、ネット接続機能のない(ダウンロードができない)、ソフトはディスクでしか供給されないゲーム機が隆盛となることを待っているかのように聞こえてしまいます。もちろんそうではないのでしょうが……。

お客様がそこにいるなら、そこに向かう。お客様はもう、行列をしてまでこちらに来てはくれません。

そのシンプルなこと、当然の戦いに、バンダイナムコゲームス(山田さん)ほど真摯に取り組み、問題意識として業界に共有を呼びかけているマーケティングスタッフは他にいないでしょう。

一年前のTGSでは、林信行さんを司会にしたステージイベントがありました。テーマは、「iPhoneから見たゲームの未来」。登壇者の多くがクリエイターで、まさにテーマに沿って「未来」が語られたイベントでした(ただ一人、スクウェア・エニックスの安藤さんは別な視点からマーケティングの重要性について言及していましたが)。たった一年で、その未来はかなり手元に引き寄せられたと思います。「i Love iPhone × Game」には明確なテーマは設けられていませんでしたが、山田さんのお話が、今年のテーマを象徴していました。今、iPhoneゲームの世界はクリエイティブのようなマーケティングマーケティングのようなクリエティブを必要としているのです。そして、そのいずれもがこれまでになかったようなスピード感で進められなければならない。

あらためてお客様のもとに向かうということは、確かに困難なことですが、コンシューマゲーム業界には16年前のPlayStationの経験があります。基本的なビジネスモデルこそ違え(PlayStationでもずいぶんな価格破壊はあったわけですが)、もう一度、あの時のような姿勢で、iPhoneゲーム、あるいはソーシャルゲームを通して、ユーザーへの挨拶、ユーザーとの握手を考えるべきなのだと、僕は勝手に思っています。

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