【MH3(トライ)開発秘話】#1 モンスター(その4)#MH3

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(その3からの続き)

ラギアクルスを例とした
藤岡流“モンスターの作り方”

――『MH3(トライ)』を例に、モンスターをデザインしていく具体的な流れについて教えてください。

辻本 まず考えるのは、パッケージにド〜ンと出てくるモンスター。いわば顔役となるモンスターで、作品全体のイメージはもちろん、プロモーション的にも非常に大きな役割を持つ、特に重要なモンスターと言えます。

藤岡 『MH3(トライ)』ではラギアクルスですね。当然最初は名称がなくて、先ほど話に出たようにキーワードだけを作っていきます。『MH2(ドス)』の場合は、「圧倒的な存在感を持つ者」というキーワードが、古龍という存在に結びついていきました。

辻本 『MH3(トライ)』だと、「火を使うモンスターは多いけど雷を使うモンスターは意外と少ないよね」という意見や、「本作で初登場となる水中での狩猟を生かせる存在が欲しい」という声から、「水中で雷を使うモンスター」というキーワードになった感じですね。

藤岡 このキーワードをもとにデザイナーと話しながらデザインしていったんですが、初期案】は飛竜と電気ナマズを足したような形でした。その際の率直な感想は、「まず、パッケージモンスターにしてはインパクトが弱い」ということと「水中という初舞台に登場するモンスターだから、もっと水中を意識した動きや遊びを入れられるシルエットにしたい」ということでした。なので、「ハード性能を無視していいから、今までにないシルエットにしてほしい」とリテイクしたんです。こうしてデザインを詰めていく過程で描かれたのが、海蛇や東洋の竜を思わせる形です。「顔つきが魚っぽいから、もう少し力強く」と相談すると、デザイナーが爬虫類のような雰囲気や龍のような顔にしてきたり。こうしたやりとりによって完成度を高めていくんですよ。身体が長いといろいろなシルエットが出せておもしろいとか、陸と水中を行き来できたらいいかもとか、ワクワクする案が浮かんできてデザインが決まっていきました。実際に作ってみたら、陸と水中でハンターがとりつける場所が変わって必然的に狙う場所が違ってくるなど、ゲーム的にもおもしろくなりましたね。

――ちなみに何人ぐらいのデザイナーの方が?

藤岡 2〜3人ぐらいですね。彼らもシリーズの初期の頃は皮の質感だけを意識していたんですが、シリーズが続くうちに、皮の下には筋肉があって、その下には骨があるという部分まで考えてデザインをするようになりました。資料用に分厚い図鑑が何冊もありますよ(笑)。

辻本 サイの角が有名ですけど、骨があると思っていた部分に実は骨がないとか。何気なく読み始めると意外と楽しかったりします(笑)。

藤岡 そんなわけで、今では自然とデザイン時に骨格まで意識するようになってます。

(その5に続く)

※インタビュー全文は電撃ゲームス 6月18日発売号に掲載されています。

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