【MH3(トライ)開発秘話】#1 モンスター(その7)#MH3

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(その6からの続き)

――意外とかわいいロアルドロスはいかがでしょうか。

藤岡 これまでは飛竜の狩猟のレクチャー役としてイャンクックが存在していて、『MH3(トライ)』ではクルペッコの役割にしました。ただ、本作では水中での狩猟が初登場となるので、それについてもレクチャー役となるモンスターが欲しいな、と思ったのがロアルドロスの発端です。そのため、デザイン案のなかには水中での生活を強めに意識したものが多いです。

辻本 ロアルドロスは発表直後の反響がすごかったですね。ライオンのマスコットキャラみたいでかわいいって(笑)。特に海外では非常に人気があり、ラギアクルスを押しのけてど真ん中で紹介されたこともあります。コロコロ転がるかわいらしい部分もありますが、真ん中で紹介されると、すごく強そうに見えました(笑)。

藤岡 横に転がるアクションが加わったときに、「コイツはいける!」と思ったモンスターでしたね。モーションが入って初めて見えてくるゲーム性やキャラクター性も多いですが、その例の1つといえます。

――モーションというと、ギギネブラも特徴的ですね。

藤岡 「壁に張りつくというモーションから連想されるすべてを込めよう」という考えから制作されたモンスターです。その結果、かなり激しい動きになりました。実は最終的なデザイン案を出したのは女性なんですよ。最初は「毒を使うモンスター」の位置付けでしたが、フルフルのポジションのモンスターを作りたいということもあって、それらを合わせてみるところから始めました。そうしたらグロテスクな要素がドカドカ入っちゃいまして。そこから、一度発想をシンプルに考え直したとき、背面と腹部の色が違う今のデザインが出てきて、その案を採用させてもらいました。

辻本 全身が白いよりも、たまに赤が見え隠れする今の形のほうが強烈な印象になっているんじゃないかと。

――ユニークな動きをするウラガンキンはどうですか。

辻本 自分としては、ラギアクルスと同じくらいインパクトを受けたモンスター。タイヤみたいにグルグル回る動きを見たときは、思わず「うおおおい!」と(笑)。

藤岡 そもそものコンセプトは、火山に出てくる重量級モンスターという、グラビモスのようなポジションでした。そのポジションで、かつ『MH3(トライ)』で初登場となる獣竜種であること。ここまではすんなり決まっていたんですが、デザインが難航しまして。これまでのモンスターは生物感を出すということを軸にして考えてきたんですが、このモンスターに関してはどうしても動物という枠を越えられなくて。そこで、あえて動物という考えを1回捨てて、ロボットやゴーレムのようなものを書いてもらったんです。この設定画はその流れを受けたものですが、途中段階のデザインはもっとロボットらしくて、戦車というか兵器というか、無機質で重量感があるものでした。さすがに生物に見えないのでリテイクはかけましたが、そのインパクトは大きかったので、そこに生物感を加えていった形です。

辻本 個人的にはウラガンキンという名前も好きですね。決定したモンスター名は随時メールで送られてくるんですけど、それを見ていて「今回はシャープでかっこいい名前のモンスターが多いな」と思っていたんです。そうしたら突然、ウラガンキン(笑)。いきなりはじけたセンスがきたなあ、と意表を突かれました。

(その8に続く)

※インタビュー全文は電撃ゲームス 6月18日発売号に掲載されています。

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