【MH3(トライ)開発秘話】#1 モンスター(その3)#MH3

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(その2からの続き)

――役割や存在意義とは、具体的にはどんなことですか。

藤岡 第一に考えるのは、ゲーム性です。対戦格闘を例にするとイメージしやすいと思いますが、キャラは多いけど似たようなコンセプトのキャラが多かったら、対戦の駆け引きが広がらないじゃないですか。見た目も含めての話ですけど、そういった意味でもモンスターが同じようなことばかりしてきたらユーザーから飽きられてしまいます。もちろん、『MH』シリーズには亜種という存在もあって、通常種とは弱点やアクションパターンを変えるなどして遊び方に違いが出るようにしています。でも、やはり多くの方は「新しいモンスターを見たい」という欲求が強いんじゃないかと。『MH3(トライ)』では新たなモンスター種として海竜種、獣竜種を加えましたが、見た目が違うだけでは新たに作る意味がありません。あくまでも、ゲームとして遊んだときに存在意義があるかどうかか大事なんです。

辻本 『MH』シリーズは、主人公であるハンター側も数種類の武器を使えるわけで、武器とモンスターの組み合わせでACTとしての幅がとても広くなってます。そういったゲーム性は、デザインにも影響することがあります。

藤岡 例えば、新作に着手するたびに出る案として、ヘビ型のモンスターがあるんですよ。木に巻きつくとか、とぐろを巻くとかって見てみたいじゃないですか。それをビジュアル的に再現するだけであれば可能だと思っているのですが、ゲーム性とあわせて考えると毎回実現をあきらめていたりします。『MH』シリーズのモンスターとして考えた場合、まだまだ乗り越えないといけない要素が多くて。ゲーム的におもしろくできそうであれば、まだまだ挑戦したいですね。

――具体的に最初の形状を指定することは?

藤岡 ほとんどないです。初期案が上がってきてから何かを言うことはあっても、とっかかりの部分はデザイナーにまかせています。私以外のスタッフから「こんな動物がいますが、モンスター案としてどうですか」といったアイデアが出て採用することもありますが、その場合も外見の独自性だけでなく、「尻尾が長いからこんな遊びを盛り込める」といった、ゲーム性と結びついていることが採用理由になることが多いですね。

――設定重視でモンスターを作るわけではないんですね。

藤岡 基本的には、すべて「ゲーム性ありき」です。設定や生態系も同じで、単にリアリティを出すために作るんじゃなくて、おもしろいゲームにつながる要素として役立つからクローズアップしよう、という流れです。

(その4に続く)

※インタビュー全文は電撃ゲームス 6月18日発売号に掲載されています。

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