【Solarobo】15年間温めた『ソラロボ』への想いとは。(その2) (アラケン) #solarobo

PH02.jpg(その1からの続き)

――設定画を拝見すると、街並みや機械のデザインがどこか懐かしく、レトロな印象を受けます。この絶妙な雰囲気にしたのは、何かこだわりが?

松山:好きなんです(笑)。もっとSF色を強くすると下品になるし、ほんわかさせすぎるとヌルくなってしまう。私が作りたいものは、人の生死もちゃんと描く「刀で斬られると血が出る本格派の世界」であって、「ファンタジーだけの世界」にはしたくなかった。ですから、この寸止め的なバランスで勝負しようと思いました。

かつて、そんな世界観について、バンダイナムコゲームスのいろいろなプロデューサーの方に意見をいただく機会があったんです。すると『ソラロボ』には、3つの問題があると言われたんですよ。1つはロボ。これについては少年はいいけど、女の子達がついて来れない。2つ目はケモノ。脇役として登場させるのはいいけど、全員がケモノの世界は、尖りすぎているだろうと。3つ目は浮遊大陸。大地が浮いたままの世界観で、大ヒットしている作品はこれまでにないと。この作品はどれだけ十字架を背負っているんだと言われまして(笑)。

でもこれだけのことを言われると、逆に手応えのようなものさえ感じちゃいますよね。この感想を受けて、そのまま突き抜けて作ることに決めました。

――そんなこだわりのポイントの1つであるケモノには、何か思い入れがあるのでしょうか?

松山:好きなんです(笑)。アニメ「名探偵ホームズ」が本当に大好きで、主題歌も歌えるし、今でも定期的に見返してます。そういう“オイシイ作品” を見て育ったので、こういう大人になったんだと思いますし。

中田:でも、企画を進めるうえで、最後の関門になったのもケモノという設定でしたね。ほかの設定は調整したり、表現を変えて押しとおしたりしましたが、ケモノだけは、本当に難航しました。社内でも「ほかは全部オーダーを聞くから、主人公だけは人間にしてみたらどう?」という意見も出たほどです。会社と松山さんで「鼻をとろう」「イヤです」「なんで?」「カッコイイからです」なんてやりとりもありましたね。

松山:「この鼻が出ているのがイイんです!」という話を冗談抜きで本気でしました。そのときは、「これは平行線をたどるかもな……」とも思いましたけど。ただ、世間にはカッコいいだけの少年の主人公がたくさんいるので、この設定については最後まで曲げませんでした。

――松山さんはケモノにかなりのこだわりがあるようですが、理想のケモノ像はどんなものでしょうか?

松山:全身や生態はいかにもケモノで、二足歩行ができるスタイルがイイです。犬タイプなら、鼻が前にグッとせり出していないとイヤ。本作では、毛むくじゃらになるように、デザイナーに細かく指示を出しましたね。猫については、鼻があまり出ていないぶん、首回りのふさっとした毛でケモノらしさを表現してもらいました。

中田:ケモノを登場させる件で最終的な論点となったのも、鼻をどうするかでした。「耳も毛もいいけど、鼻をとって」と言われた松山さんは、逆に「耳も毛もいらないけど、鼻だけは残してくれ」と主張していましたね。

松山:モナーとしての愛が詰まっている部分なので、力説しました。まあ、理屈じゃないんですけど(笑)。

(その3へ続く)

※インタビュー全文は電撃ゲームス 4月23日発売号に掲載されています。